はじめに
― 配車管理・勤怠・帳票・請求を一元化する方法とは ―
運送業界では、「2024年問題」への対応や人手不足・燃料費高騰など、多くの経営課題が山積しておりそのなかで注目されているのがITによる業務効率化です。
特に中小運送会社にとって、配車・勤怠・帳票・請求を一元化できるITツールの導入は、省力化と利益確保の両立に直結します。この記事では、運送業で活用されている主要なシステム・アプリと、その導入によるメリット、そして成功につながるポイントを解説します。
目次
中小企業でもクラウドツールやアプリを使えば、小コストで大きな業務改善が可能になっています。
領域 | 主な機能 | 活用ポイント |
---|---|---|
配車管理 | 車両割当・ルート計算・稼働状況把握 | 手配ミス・空車率の低減、急な変更にも柔軟対応 |
勤怠管理 | 出退勤記録・残業集計・GPS連携 | 労働時間の適正把握、労基署対応もスムーズに |
帳票作成 | 運転日報・点呼記録・事故報告書 | 書類の電子化で転記・保管作業を削減 |
請求管理 | 請求書作成・回収管理・連携帳簿 | 誤請求防止、キャッシュフロー改善、未収金削減 |
■ 事例:地方の中小運送会社(車両15台・従業員20名)
Excelと紙で管理していた配車表をクラウド配車システムに切り替え。
ドライバーのスマホアプリで日報・点呼・出退勤も一元管理。
→ 配車担当者の作業時間が1日3時間→1時間に短縮
→ 請求漏れゼロ・紙保管ゼロを実現
① 現場の課題を洗い出す
② スモールスタートで導入
③ スタッフとの連携を強化
カテゴリ | ツール例 | 特徴 |
---|---|---|
配車管理 | MOVO、Loogia、トラック簿 | クラウド型でリアルタイム対応可能 |
勤怠管理 | KING OF TIME、ジンジャー勤怠 | モバイル打刻・GPS機能付き |
帳票作成 | LogiTACT、運転日報アプリなど | デジタル点呼・日報作成をスマホで完結 |
請求管理 | 請求QUICK、MFクラウド | 会計連携・定期請求対応も可能 |
※導入費用や機能は事業規模・車両数によって異なるため比較が必要
■ 企業プロフィール
■ 導入前の課題
■ 導入したシステム・ツール
項目 | ツール名 | 主な機能 |
---|---|---|
配車管理 | クラウド型配車システム | 車両・ドライバーの割当、進捗確認、ルート調整 |
勤怠管理 | モバイル勤怠アプリ | スマホ打刻・GPS連携で出勤状況を自動記録 |
帳票作成 | デジタル運転日報アプリ | 日報・点呼簿の電子化、事故報告も即入力 |
請求管理 | クラウド請求サービス | 自動請求書発行、月末処理を自動化 |
■ 導入の進め方
1.最初の3か月は配車システムのみ導入し、配車担当者に慣れてもらう
2.次に勤怠管理と日報アプリをドライバーに展開(1週間の操作研修を実施)
3.最後に請求管理をクラウド化して、事務作業全体を一元化
■ 導入後の効果
項目 | Before(導入前) | After(導入後) |
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配車業務 | 手配に1日2時間、引き継ぎ困難 | 手配時間を1時間以内に短縮、複数人で共有可能 |
勤怠集計 | 月末に5時間以上かけて集計 | 自動集計により集計作業ゼロへ |
請求処理 | 手作業・Excelベースで請求漏れ多発 | 自動作成・一括送信、誤請求ゼロに |
管理精度 | 紙と記憶頼りの管理体制 | データに基づく客観的な業務把握が可能に |
■ 社長のコメント
「現場は最初アプリに抵抗がありましたが、1回覚えたら“紙より楽”と変化しました。今では『次に何をデジタル化できる?』と社員から提案が出るようになりました。」
■成功のポイント
✔ 一気にすべてを変えず、段階的にIT化を導入
✔ 操作に不慣れなスタッフへの丁寧なサポート体制
✔ 日報や点呼など、「義務化されている業務」から着手することで現場も納得
ITは「省力化」のためでなく「利益を守る手段」
IT化というと、「コストがかかる」「現場が反発する」といった懸念もあるかもしれません。しかし実際には、現場のミスやムダを減らし、管理者の負担を軽減し、結果的に利益を守ることにつながるのがITツールです。中小運送会社こそ、少人数で複数業務を担う体制が多いため、ITの力をうまく使えば驚くほど効率化できます。まずは一歩、小さな改善からスタートしてみましょう。