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運送業のグリーン物流:持続可能な配送網の構築に向けた戦略

2025年7月10日
運送会社M&A

はじめに

環境問題が世界的に重要視される中、運送業界にも大きな変革の波が押し寄せています。特に、地球温暖化対策としてCO₂排出削減が求められる中で、業界全体がグリーン物流の導入を進める必要に迫られています。グリーン物流とは、環境に配慮した効率的な物流システムを指し、持続可能な配送網を構築するための戦略として注目されています。本記事では、運送業におけるグリーン物流戦略の重要性と、それに向けた具体的な施策を紹介します。再生可能エネルギーを活用した配送システムの導入方法や、環境負荷を低減するための最新技術についても解説します。

グリーン物流とは?その背景と重要性

グリーン物流の定義

グリーン物流とは、環境に与える負荷を最小限に抑えつつ、効率的で経済的な物流を実現するシステムです。具体的には、CO₂排出量を削減するための取り組みや、省エネルギー、再生可能エネルギーの活用、エコドライビングの推進などが含まれます。

近年、企業や政府はSDGs(持続可能な開発目標)に基づき、環境への配慮を求められるようになっており、物流業界もこの流れに適応する必要があります。さらに、消費者の環境意識が高まる中、環境に優しい企業活動がブランド価値や顧客の信頼を高める要因となるため、グリーン物流は企業の競争力向上にも繋がります。

運送業界における環境課題
運送業界は、CO₂排出量の大きな原因となっている輸送部門の中で重要な役割を担っています。例えば、長距離トラックの燃料消費や、都市間輸送で発生する排気ガスなどが問題となります。また、配送の効率化が不十分だと無駄なエネルギー消費や渋滞による環境への負担が増大します。これらの課題を解決するために、グリーン物流戦略が必要とされています。

グリーン物流の戦略

低公害車両の導入

運送業界における低公害車両の導入は、グリーン物流の最も効果的な手段の一つです。特に、電気自動車(EV)や水素トラックは、化石燃料を使用しないため、CO₂排出量を大幅に削減できます。

  • ・電気自動車(EV):充電インフラの整備が進む中、EVトラックの導入が進んでいます。EVは排気ガスを一切排出せず、運行コストも低く抑えられるため、長期的な経済メリットが期待できます。


  • ・水素トラック:水素を燃料とするトラックは、ゼロエミッションで運行可能であり、特に長距離輸送に適しています。水素ステーションの整備が進むことで、より多くの企業が導入を検討しています。

これらの環境に優しい車両を導入することによって、運送業者は環境負荷の軽減とともに、運行コストの削減も実現できるのです。

再生可能エネルギーの活用

運送業の再生可能エネルギー活用は、グリーン物流戦略の重要な一環です。トラックの充電や運行拠点で使用する電力を、再生可能エネルギーから調達することにより、CO₂排出をさらに削減できます。

  • ・太陽光発電:配送センターや倉庫の屋根に太陽光パネルを設置することで、施設で使用する電力を自給自足することが可能になります。余剰電力は蓄電池に蓄え、夜間や悪天候時に使用可能。


    ・風力発電やバイオマスエネルギー:一部の運送業者は、風力やバイオマスから生成されたエネルギーを利用して、車両の充電や施設の電力供給に活用しています。これにより、グリーン電力の利用比率を高めることができます。

再生可能エネルギーを積極的に活用することで、環境負荷を大幅に削減し、持続可能な社会の実現に貢献できます。

輸送効率の最適化
グリーン物流を実現するためには、輸送効率の最適化も欠かせません。無駄な運行や積載効率が低い配送を減らすことが、CO₂排出量の削減に繋がります。

  • ・AIとビッグデータの活用:AIやビッグデータを使った配送ルートの最適化は、燃料消費を削減し、効率的な運行を実現します。これにより、トラックの走行距離を減らし、渋滞や無駄な時間を排除することができます。


  • ・車両の積載効率向上:荷物の積載量を最大化し、空車運行を減らすことで、トラック一台あたりのCO₂排出量を削減できます。物流ネットワーク全体で積載効率を見直すことが重要です。

エコドライビングの推進
エコドライビングとは、燃料消費を最小化する運転方法で、これによりCO₂排出を減少させることができます。運転手へのエコドライビング教育を行い、運転の無駄をなくすことで、より効率的な運行が可能になります。

  • ・急加速や急ブレーキの回避:これらを避けることで燃料消費を抑え、運転の安全性も向上。

  • ・適正な速度の維持:高速道路や市街地での速度を一定に保つことで、無駄な燃料消費を防ぎます。

エコドライビングの習慣を徹底する事で、トラックの運行効率を高め、環境負荷を減らす事ができます。

グリーン物流の導入事例

ヤマト運輸の「電動車両導入」

ヤマト運輸は、電動配送車両(EV)の導入を進めています。これにより、都市部でのCO₂排出を削減し、環境負荷を低減する取り組みを強化しています。さらに、太陽光発電を活用した配送センターの運営や、AIによる配送ルートの最適化も実施しており、グリーン物流の実践例として注目されています。

アマゾンの「気候サステナビリティ」への取り組み
アマゾンは、2030年までに運送部門のCO₂排出をゼロにする目標を掲げ、再生可能エネルギーを利用した車両の充電や、電動配送車両の導入を進めています。また、配送センターや倉庫の屋根に太陽光パネルを設置し、グリーン電力の活用を強化しています。

まとめ

運送業界におけるグリーン物流は、環境負荷を削減するだけでなく、効率化やコスト削減にも寄与します。再生可能エネルギーの活用や、低公害車両の導入、輸送効率の最適化など、多岐にわたる戦略を組み合わせることで、持続可能な配送網の構築が可能です。これからの運送業界は、環境に配慮したグリーン物流の導入を進めることで、企業の競争力を高め、社会的な責任を果たすことが求められています。グリーン物流を成功させるためには、最新技術やエコドライビングの推進、再生可能エネルギーの活用など、積極的な取り組みが不可欠です。

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