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運送業のカスタマーエクスペリエンス向上戦略:顧客満足度を高めるサービスとは

2025年7月11日
運送会社M&A

はじめに

物流業界において、価格や納期だけでは差別化が難しくなった今、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」の向上が注目されています。配送の「速さ」だけでなく、「正確さ」「安心感」「利便性」「対応の質」といった総合的な体験価値が、企業の評価を左右する時代です。本記事では、運送業において顧客満足度を高めるためのサービス改善点と、カスタマーサポート体制の強化策について、具体例を交えて紹介します。

顧客満足度は「配送品質」だけで決まらない

これまでの物流業界では、「納期を守る」「荷物を破損せずに届ける」といった配送品質が最も重要視されてきました。もちろんこれらは基本ですが、今の顧客は、単なる配送以上の体験を求めています。

例えば:

  • ・配送状況の追跡ができるか
  • ・荷物の受け取り方法が柔軟か
  • ・トラブルがあったときにすぐ対応してくれるか
  • ・配送員の対応が丁寧か

こうした「細部の満足」が企業全体の印象に直結するため、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上=競争力の向上と言っても過言ではありません。

配送サービス改善のポイント5選

① リアルタイム配送追跡の強化

「今、どこにあるの?」への不安をゼロに。GPS連動の追跡システムや、配送ステータスをLINE・SMSなどで通知するサービスを導入すれば、顧客は配送状況を自分で確認でき、問い合わせ件数の削減にもつながります。

② 配送スケジュールの柔軟化とリスケ対応

再配達の多さは、配送側にも顧客にも負担。事前に配達時間帯の選択や変更ができるシステムを整えることで、「都合が悪い時間帯に届く」問題を解消できます。

例:ヤマト運輸の「時間帯指定」や佐川急便の「Web再配達受付」は高評価の要因。

③ 荷扱いに対する安心感の提供

壊れやすい商品や高額商品を運ぶ際、梱包状態や丁寧な扱いへの配慮が印象を左右します。「○○専用配送便」「取扱注意シールの強化」「専用車両の導入」など、荷物の性質に応じた対応を前面に出すと信頼性アップに。

④ 配送員の接遇教育

荷物を届ける“最後の接点”が配送員です。言葉遣いやマナー、服装や表情が顧客満足度に直結します。配送スタッフへの定期的な接遇研修や、スマートフォンでのフィードバック機能(接客評価)も導入事例が増えています。

⑤ 梱包資材や配達通知のブランディング

配送は「ブランド体験」の一部。丁寧な梱包、環境配慮の資材、分かりやすい納品書など、細部まで配慮されたパッケージングが印象を左右します。

カスタマーサポート強化の具体策

配送中のトラブルや不明点への対応スピード・正確さは、CXにおいて非常に重要です。以下のような対策を講じることで、顧客満足度の改善が見込めます。

① 多チャネルでの問い合わせ対応

  • ・電話だけでなく、チャット・LINE・メール・FAQページなど複数の窓口を設ける。
  • ・特に若年層は「電話NG」の傾向があるため、チャットボットやAI自動応答の導入が有効です。

② 問い合わせ履歴の一元管理(CRM活用)

  • ・顧客とのやりとり履歴を一元管理し、前回の内容を踏まえた対応が可能に。
  • ・顧客ごとに対応履歴が残ることで、個別対応・クレーム防止にも貢献。

③ 顧客アンケートによるフィードバック収集

  • ・配達後のアンケートやCS調査を実施し、改善点を見える化。
  • ・NPS(ネット・プロモーター・スコア)などを導入して、顧客ロイヤルティの定点観測を行う企業も増加中。

顧客との「つながり」を深める取り組み

ロイヤルカスタマー向けサービスの提供

  • ・定期利用者向けに「ポイント還元」「サブスクリプション配送」などの特典を。
  • ・法人顧客向けには契約管理・請求のデジタル化、専任窓口設置で差別化。

トラブル時の誠実な対応フロー

  • ・配送ミスや遅延発生時は、先回りした連絡と誠意ある説明が不可欠。
  • ・マニュアル対応ではなく、状況に応じた柔軟な判断ができる人材育成もカギに。

まとめ

運送業において、商品そのものではなく「サービスの質」が顧客との信頼関係を築く要素になっています。価格競争から脱却し、“体験価値”を提供する運送業へとシフトすることが、持続的な成長の鍵です。

企業が意識すべき3つのポイント

  1. ・配送の「速さ」よりも「正確さと安心感」
  2. ・顧客の声をサービス改善に活かす仕組み
  3. ・カスタマーサポートは“企業の顔”

選ばれる物流パートナーとなるために、CXを経営戦略の中心に据えた取り組みを進めていきましょう。

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